開業を目指している場合はもちろん、ペット関連業界の仕事を希望していたり、今は予定が無いけど将来的に開業したい気持ちに変わるかも…
そんな時にも愛玩動物飼養管理士は持っていると損しない資格です。
愛玩動物飼養管理士の資格をGetしたらペットカフェなどがすぐ開業出来るの?
このような疑問に役立つ記事です。
愛玩動物飼養管理士が開業に役立つ理由
愛玩動物飼養管理士の大きなメリットとも言える「開業に役立つ」理由についてPickUpしました。
開業申請について
ペットショップ、ペットカフェ、ペットサロン、ペットホテル、シッター、トリマー、トレーナーやブリーダーなど、営利目的で動物の事業を始めるには「第一種動物取扱業」の登録を受けることになります。
登録の対象となるの上記のような販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養に該当する種別で、対象動物は哺乳類・鳥類・爬虫類です。(実験動物・畜産動物等を除く)
第一種動物取扱業の登録
種別 | 該当する業務の例・内容 |
---|---|
販売 |
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保管 |
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貸出し |
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訓練 | 動物の訓練、調教業者など顧客の動物を預かり、訓練を行う業務 |
展示 |
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競りあっせん | 会場を設けて競りの方法により行う業(インターネット上は対象外) |
譲受飼養 | 老犬老猫ホームなど有償で動物を譲り受けて飼養を行う業務 |
ちなみに営利性のないもので、飼養施設を設置し一定頭数以上の動物の取扱い(動物の譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示)を業として行うものは第二種動物取扱業となります。例えば動物愛護団体のシェルターなどです。
今回は営利な第一種動物取扱業についてお伝えします。
動物取扱責任者の要件
開業には 「第一種動物取扱業」の登録が必要ですが、その際に「動物取扱責任者」を申請することになります。
しかし「動物取扱責任者」は誰でも良いわけではありません。必要要件があるんです。
動物取扱責任者とは
顧客に対して適正な動物の飼養及び保管の方法等の重要事項を説明したり、*動物取扱責任者研修において得た知識及び技術について事業所の職員に指導したり、動物の飼養に関する責任者であるだけでなく、行政との連絡窓口や他の職員の指導などの非常に重要な役割を果たすので、一定の要件を満たさなければ動物取扱責任者になることができません。
* 動物取扱責任者研修は都道府県等が開催する法定研修で受講義務があります
ふーむ、動物取扱責任者は誰でもなれるわけじゃないのね。要件って何なのかしら
そこで愛玩動物飼養管理士の資格が重要になります。
「動物取扱責任者」は事業所ごとに常勤職員の中から専属として選任された者であること(事業者自らを選任しても可)と、
以下の (1)~(4) のいずれかを満たす必要があります。(令和2年6月1日施行)
(1)獣医師
(2)愛玩動物看護師
(3)所定の学校の卒業 +半年以上の実務経験 (常勤で在職に限る)
(4)所定の資格等の取得+半年以上の実務経験(常勤で在職に限る)
資格については公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験により、第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ているものとして環境省が示しています。
動物取扱責任者の要件(4)で「所定の資格等の取得」 として環境省が認めているのが愛玩動物飼養管理士などの資格です。
愛玩動物飼養管理士はこの「動物取扱責任者」要件の一つを満たす資格なので開業に向けてググッと近づくことが出来るのです。
つまり「半年以上の実務経験」と「愛玩動物飼養管理士の資格」があれば「動物取扱責任者」要件が揃うので、個人事業や小規模事業では自らが「動物取扱責任者」として申請することが可能となり、人件費なども抑えつつ比較的短期間で開業に向かうことが出来るのですね。
他の要件に比べて資格の取得ならかなりの確率で誰でも可能よね。
まさに個人事業にはぴったり。
開業しない間は就職、転職でも役立てることも出来ますね
(1) ~ (3) の要件は学生時代から動物関連の職業を目指していないとなかなか難しいですよね。
(3) の 「所定の学校の卒業」は例を挙げると畜産学や獣医学、動物看護学を専攻し卒業している等です。
教育機関や教科によっては認められないものがあるので申請先で事前に確認が必要となります。
(4)の「所定の資格等の取得」 は (1) ~ (3) に比べてチャレンジしやすく、仕事をしながらでも資格を取得出来ることもメリットです。
動物取扱責任者のもう一つの要件である「半年以上の実務経験」とは以下の 1または 2となります。(参考:東京都福祉保健局)
1.「営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること」 (常勤で在職に限る)
または
2.「取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる1年間以上の飼養の従事経験がある方」
2 についてはペットでの飼育経験や繁殖経験では認められないようです。
これらも申請先の判断が適用されることがあるので事前確認、相談が必要です。
以前は資格、実務、卒業のいずれかで動物取扱責任者になれましたが「動物の愛護及び管理に関する法律」の一部改正によって必要な要件が上記(実務+資格、実務+卒業)のように厳格化されました。
「営もうとする第一種動物取扱業の種別」の半年以上の実務で実績を積まないといけなくなったので、ちょっとハードルが上がりましたね
改正前の動物取扱責任者も対象
「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正前は資格、実務、卒業のいずれかを満たしていれば動物取扱責任者になれました。
法改正前の要件で「動物取扱責任者」になっていた場合、法改正後の動物取扱責任者要件を満たしていなければ、令和5年5月31日(施行後3年のうち)までに満たす必要があります。
もし実務要件しか満たしていなければ資格取得などで要件を確保しなければなりません。
他の資格との比較
「動物取扱責任者」要件の「所定の資格」には愛玩動物飼養管理士以外の資格も認められています。
動物取扱責任者の要件を満たす資格&種別が以下の表です。(参考:東京都福祉保健局)
※表は横にスライドするか(PCは表の下部でスクロール)、
こちらの画像でもご覧になれます
資格 | 団体名 | 認められる種別(一例) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 愛玩動物飼養管理士(1級・2級) | 公益社団法人 日本愛玩動物協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
2 | 愛犬飼育管理士 | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
3 | 愛護動物取扱管理士 | 一般社団法人 新潟県動物愛護協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
4 | 家庭犬訓練士(初級、中級、上級、教師) | 一般社団法人 全日本動物専門教育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
5 | 家庭動物管理士 | 一般社団法人 全国ペット協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 展示 | 競り | 譲受 | |
6 | 競技別指導者資格馬術コーチ | 公益財団法人 日本体育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
7 | 競技別指導者資格馬術指導員 | 公益財団法人 日本体育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
8 | 競技別指導者資格馬術上級コーチ | 公益財団法人 日本体育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
9 | 公認訓練士 | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ | 保管 | 訓練 | 譲受 | ||||
10 | 公認訓練士 | 公益社団法人 日本警察犬協会 | 保管 | 訓練 | 譲受 | ||||
11 | 公認馬術指導者資格コーチ | 公益財団法人 日本体育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
12 | 公認馬術指導者資格指導者 | 公益財団法人 日本体育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
13 | 実験動物技術者(2 級) | 公益社団法人 日本実験動物協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 展示 | 競り | 譲受 | |
14 | 小動物飼養販売管理士 | 協同組合 ペット・サービスグループ(PSG) | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
15 | 乗馬指導者資格(初級) | 公益社団法人 全国乗馬倶楽部振興協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 展示 | 競り | 譲受 | |
16 | 乗馬指導者資格(中級) | 公益社団法人 全国乗馬倶楽部振興協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
17 | 地方競馬教養センター騎手過程修了者 | 地方共同法人 地方競馬全国協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
18 | 調教師 | 地方共同法人 地方競馬全国協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
19 | 動物介在福祉士(初級、中級、上級、教師) | 一般社団法人 全日本動物専門教育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
20 | 動物看護師(初級、中級、上級、教師) | 一般社団法人 全日本動物専門教育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
21 | 動物取扱士(3 級) | NPO法人 九州鳥獣保護協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
22 | トリマー(初級、中級、上級、教師) | 一般社団法人 全日本動物専門教育協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
23 | 認定ペットシッター | ビジネス教育連盟ペットシッタースクール | 保管 | 訓練 | 譲受 | ||||
24 | ペットシッター士 ※平成21年4月1日以降取得したものに限る | NPO法人 日本ペットシッター協会 | 保管 | 訓練 | 譲受 | ||||
25 | GCT(Good Citizen Test) | 一般社団法人 優良家庭犬普及協会 | 保管 | 訓練 | 譲受 | ||||
26 | JAHA認定家庭犬しつけインストラクター | 公益社団法人 日本動物病院協会 | 販売 | 保管 | 貸出し | 訓練 | 展示 | 競り | 譲受 |
※表は横にスライドするか(PCは表の下部でスクロール)、
こちらの画像でもご覧になれます
特定の分野や特定の動物に関する資格も多く、「販売・保管・貸出し・訓練・展示・競り・譲受飼養」の全種別を認められていない資格もあります。表の空欄部分は、その資格では認められていない種別です。
例えば公認訓練士やペットシッター資格では「保管、訓練、譲受」は認められていますが「販売、貸出し、展示、競りあっせん」が認められていないので、その事業を始めたいなら別の資格を取得する必要があるんですね。
資格によっては更新料や年会費などの維持費がかかってくるものがあります。
このように動物取扱責任者要件として認定されている資格も様々な特徴と違いがあるので慎重に選択したいものです。
愛玩動物飼養管理士を選ぶ理由
開業を目標とする場合でも、今はそうでないにしても「動物取扱責任者」を視野に入れて愛玩動物飼養管理士の資格を選択する理由は、他の資格と比べて以下のような理由があります。
- 愛玩動物飼養管理士は「販売、保管。貸出し、訓練。展示。競りあっせん、譲受飼養」の全種別において認定されているのでどの事業もカバー出来る資格である
- 更新制資格ではないので年度ごとに更新料がかかったり更新の手間が無い
- 一度取得したら生涯資格を保有出来るので、後に開業を目指すことになったとしても有用
- 特定分野や特定の動物ではなく動物全般についての知識を得る資格なので業種によっては好都合となる
- 万が一不合格でも格安で再受験出来る制度があるので元の受講料を無駄にせず再チャレンジ可能
実際の開業にあたっては担当の動物愛護センターや部署に相談や確認しながら様々な書類を提出したり打合せなどをすることになります。
また業種によっては他に取得する必要がある許認可の有無もあります。
例えばペットカフェには飲食店の営業許可、食品衛生責任者、防火管理者、税務署への届出などです。
多くの要件をクリアし手続きを経てようやく開業のスタートに立てるのですね。
まとめ:資格取得は開業の強い味方
「愛玩動物飼養管理士の資格」と「実務経験」を満たせば、開業時に必要不可欠となる「動物取扱責任者」の要件を満たすことが出来ます。
これによって開業へ大きな一歩前進となることは間違いなさそうですね。
開業時は開業予定地での申請先の案内に従うことになります。
都道府県や市の担当部署、動物愛護センターのWEBサイトに、第一種動物取扱業や動物取扱責任者の詳細や案内が掲載されているのでチェックしてみて下さいね!